逮捕されたら前科?前科をつけない方法を教えて!

2017/03/13

逮捕されたら前科はついてしまうの?

前科がつくとどんな不利益があるの?

前科がつかないようにできるの?

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

前科とは何か、前科をつけない方法はあるのかという疑問をお持ちの方はこちらをご覧ください。

逮捕されたら前科はついてしまうの?

家族が逮捕されてしまいました。「前科がついてしまった」ということでしょうか。

逮捕されただけでは前科はつきません。前科について説明しましょう。

前科は捜査された記録ではない

刑事事件で捜査、起訴、公判が行われる事を「刑事手続」といいます。
この刑事手続に関与した(捜査や起訴された)事実があると、警察や検察等の捜査機関に記録として残ります。
この捜査機関に残る記録を前科前歴といいます。
前科・前歴のどちらになるかは、捜査機関の最終的な処分によって決まります。しかし、これらの記録は削除されることはありませんので一生残ります。

前科や前歴は捜査機関で共有する情報なので、自分から申告しない限り他者が調べる方法はなく、捜査機関から情報が漏れることは考えにくいので、日常生活を送る上では問題が生じることはほとんどないと言えますが、実名報道されていれば、インターネット検索で、捜査されたことや前科が公になるケースもあります。

前科があることで、一定の不利益を被ることもありますので刑事手続きに関与した時は、弁護士に相談するなど、早めの対応が必要になります。

前科と前歴の違い

前科は、一般的には過去に有罪判決(刑事罰)を受けた事実のことをいいます。
そのため、懲役刑だけでなく、科料や罰金刑も前科になります。

前歴は、一般的には刑事手続に関与したが、有罪判決を受けていないことをいいます。
不起訴処分になった事件逮捕歴などがこれにあたります。

少年事件で下される保護観察少年院送致も記録は残りますが、刑事罰ではないので前科になりません
交通違反の反則金は刑事手続きを免れる代わりに金銭を国庫に納付する制度です。科料や罰金と同じように金銭をおさめるので混同されやすいのですが、これも前科にはなりません

前科と前歴は、刑事手続に関与した事実として、記録が残るという点では同じですが、有罪判決を受けたか、受けていないかという大きな違いがあります。
前歴は、前科と比べると受ける不利益が格段に少ないので、スムーズな社会復帰をするうえで大きな意味があります。
そのため、事件を不起訴で終わらせ、前科がつかないようにする活動に力を入れています。

不起訴処分になれば、前科はつきません。警察に逮捕されたケースでも同様です。検察官が事件を起訴しない以上、刑事裁判は開かれないので、被疑者に前科がつくことはありません。前科がつかないということは、法律的に「犯罪者」としての経歴が残らないということです。前科がつかなければ、一定の資格を必要とする仕事にも就くことができ、法律的に何らの制限を受けることなく、日常の社会生活に復帰することができます。

前科がつくとどんな不利益があるの?

「前科がある」と聞くとマイナスのイメージがありますが、なにか不利益はあるのでしょうか。

デメリットはあります。前科の種類・内容にもよりますが、困るケースについてご説明します。

仕事や就職への影響

前科があることで、大きな影響があるとすれば仕事や就職にかかわることでしょう。

一つ目として、前科がある人の採用を希望する会社はほとんどないため、就職の書類選考や面接等の過程で、一定の不利益を受ける可能性があります。
しかし、経歴書に賞罰欄がある場合は、前科があることを記載しないと不実記載になります。
前科の内容がその会社での懲戒の対象になる可能性もありますし、近年はインターネット検索で過去の新聞記事や実名報道などを調べることができるので、捜査されたことや前科が公になる可能性もあります。
入社後の人間関係を考えれば正直に記載をするか、賞罰欄のない用紙を用いる必要があります。

二つ目として、国家資格や当局への登録・届け出が必要な仕事の場合は、前科の種類・内容によっては大きな制約を受けることがあります。
仕事により異なりますが、刑事罰の内容が欠格事由にあたる場合、資格を失うこともあります。

前科があると就職できないということはありませんが、難しくなることは否定できません。そのため、不利益が最小限になるように力を尽くし、普段通りの生活ができるよう活動します。

その他の不利益となるケース

前科があることで不利益を被ることが想定されるのは、海外旅行に行くときです。
パスポートが取得できないということはありませんが、一定の影響が出る場合があります。
詳しくは、渡航予定の国の大使館に確認が必要ですが、前科の内容や種類によってはビザが取得できない入国を拒否されるといったケースがあります。

結婚や男女交際などで相手や周囲との人間関係に影響が出たり、子どもの進学・就職などで何かしらの不都合を被ったりすることもあります。

また、一度前科がつくと二回目は再犯となるので、刑事手続上で不利に扱われることがあります。前科があることで逮捕されたり、家宅捜索を受けたりするケースも多くあります。

このような影響がでることが考えられるので、前科がないにこしたことはありません。

前科がつかないようにできるの?

前科がつかない方が良いのはわかったけれど、そんなことできるの?

前科がつかないための活動について説明します。

有罪判決を受けない方法

前科とは、有罪判決を受けた履歴のことなので、有罪判決を受けないように活動をします。

第一の方法は、検察官から「不起訴処分」を得ることです。
刑事手続(逮捕)された事件が不起訴になれば裁判を行わないので、前科がつくことはありません。
第二の方法は、裁判官から「無罪判決」を得ることです。
起訴された事件が無罪判決で終われば前科はつきません。

当事者(相談者)の立場で考えると、不起訴処分を得る方が、無罪判決を得る場合と比べて、時間的・精神的に負担が少ないです。そのため、事件が起訴される前に早めに対応していく必要があります。

不起訴処分の獲得は、検察官が事件の起訴如何を決定するまでに行う必要があります。一度起訴された事件を事後的に取り消して不起訴にすることはできないため、不起訴処分の獲得に向けた弁護活動は、起訴如何が決定されるまでに行う必要があります。 そのため、弁護士に事件を依頼する場合は、事件が発覚した後、できるだけ早い段階で法律相談を受け、依頼する弁護士を選ぶことが大切です。特に、逮捕・勾留されている事件では、厳格な時間制限の中で、起訴如何が決定されてしまうため、不起訴処分の獲得に向けた弁護士の選任は急を要します。 また、せっかく弁護士を選任しても、選任した弁護士の動きが悪ければ、無駄に時間だけが過ぎ、タイムオーバーになってしまいます。弁護士を選ぶ際は、①過去に同様の事件に取り組んだ経験があるか、②民事裁判や顧問先との業務でスケジュールが埋まっていないか、③土日や祝日でも対応してくれるか、などの点に着目し、動きの良い弁護士を見つけることが大切です。

不起訴処分を得るために

不起訴処分には大きく分けて3種類あります。

1.嫌疑なし
  犯人でないことが明白になった場合
2.嫌疑不十分
  犯人であることを証明するだけの証拠が足りない場合
3.起訴猶予
  犯人であることが証明できるが、起訴する必要がないと判断された場合

不起訴処分を得るためには、弁護士のアドバイスに基づいて行動するのが一番です。
ケースによって不起訴処分を獲得するための方法は異なりますが、ケースによっては、確実に不起訴になる方法が存在することもあります。

なお、不起訴処分になったことを通知する書類を発行するよう、検察官に対して請求できます。この書類で不起訴になったこと(前科がつかなかったこと)を証明できます。

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